この記事では、英語で頻用される4つの記号
エムダッシュ(—)・ハイフン(-)・コロン(:)・セミコロン(;)
の用途と使い方を説明していきます!
実際にこれらの記号は英語の長文読解などで目にする機会が多く、且つ、慣れていないと訳し方が分からず困ってしまうことが多いかと思われます。
そこでこの記事では、簡単な比較表から使用時のための練習問題まで作ってみましたので是非参考にしてください!
簡単な比較表
記号 | 主な用途 | 例 | 説明 |
---|---|---|---|
エムダッシュ(—) | 挿入・強調・文の切替 | The plan—despite setbacks—succeeded. | 文中に大きな切れ目を作り、補足や強調を与える(挿入句を明確に示す) |
ハイフン(-) | 語形成・複合形容詞・数字の綴り・文末のハイフネーション(行末の単語分割) | a well-known author / twenty-one / com- / puter(行継続) | 語の結合や意味の明確化に用いる。行末分割では可読性を損ねない位置で単語を分割する(ウェブ表示では制御が必要) |
コロン(:) | リスト導入・説明の導入・強調 | He has one goal: improve service. | 前半が後半を説明する構造を明示する。原則としてコロン前は独立節にする |
セミコロン(;) | 独立節の連結・複雑なリストの区切り | She studied; she still failed. | 文と文を緩やかにつなぐ(カンマより強く、ピリオドより弱い)。複雑な列挙の項目区切りにも有効 |
エムダッシュ(—)
役割
- 挿入句の導入(補足や説明を強調する)
- 強調(語句や節を目立たせる)
- 会話の途切れや感情の切れ目を示す(口語的表現に有効)
要するに「that」のように使われているわけですね!
使い方
- 基本形は前後にスペースを入れないのが一般的(米語スタイル)。ただしスタイルガイドによりスペース有無を統一。
- 長い挿入句をカンマで区切るよりもエムダッシュで囲むと読みやすさが上がる場合があります。
- ハイフン(-)やエンダッシュ(–)と混同しない。用途が異なるため見た目ではなく機能で選びましょう。
注意点
- 公文書や学術文では多用を避け、必要なときだけ使うようにしましょう。過度の使用はリズムを乱してしまいます。
- 表示環境によっては
--
が自動変換されないことがあるため、原稿では実字「—」(U+2014)を使うのが望ましいでしょう。
使用例
The proposal—although carefully planned—failed to gain approval.
提案は綿密に計画されていた。だが承認は得られなかった“I could have won if I had tried—” he whispered.
「努力していれば勝てたかもしれない」彼は囁いた
ハイフン(-)
役割
- 複合形容詞の形成
- 接頭辞・接尾辞の結合
- 数詞や省略形、suspensive hyphen
- 行末のハイフネーション
4の行末のハイフネーションは日本人には馴染みがないものなので注意が必要です。
使い方
- 名詞を前から修飾する複合形容詞に入れる:
a long-term plan
のように、名詞の直前で意味のまとまりを示します。述語のときは外しましょう(The plan is long term.)。 - 行末での分割(ハイフネーション)は音節で:印刷物では可能ですが、ウェブでは自動分割が読みづらさを招くため、必要ならCSSで制御しましょう。
注意点
- ダッシュ類と混同しない:ハイフン(-)、エンダッシュ(–)、エムダッシュ(—)は用途が異なります。範囲はエンダッシュ、挿入はエムダッシュが原則です。
- 表記の一貫性を保つ:同一文書内で
e-mail
とemail
を混在させないなど、スタイルを決めて統一してください。 - 接頭辞の使い方に注意する:
self-
やex-
などはハイフンの有無が語によって異なるため、スタイルガイドや辞書で確認しましょう。 - 過剰な使用を避ける:短く明白な語や一般的な複合語に不用意にハイフンを入れると逆に読みにくくなることがあります。
- 行末での単語分割は音節に従う:例えばexpensiveという単語は[ex-pen-sive]という音節に分かれます。ですから、[expe-nsive]というのは間違った使用方法となります。
使用例
a well-known author
よく知られた著者She is self-employed.
彼女は自営業ですpre- and post-war policies
戦前・戦後の政策He wears one of the most expen-
(改行)sive watch in the world.
彼は世界で最も高価な腕時計の1つをつけています
コロン(:)
役割
- リストの導入(前節が後節の一覧を導く)
- 説明・定義の導入(前の主張を詳述)
- 引用や例示の導入
使い方
- 原則として、コロンの前は独立節(完全な文)にするのが望ましいでしょう。
- コロンの後に来る文が独立節である場合、スタイルにより先頭を大文字にすることがあります(米式)。ただし一貫性を保ちましょう。
- リスト導入のために短い語句を無理に独立節にするより、文の流れを整えてからコロンを用いましょう。
注意点
- コロンを誤って文中の単純な区切りとして使うと不自然になる。前が独立節であるかを常に確認してください。
- 多用すると文が断片的に読める場合があるため、説明の導入や強調に限定するのが安全です。
使用例
She set three priorities: improve quality, cut costs, and increase speed.
彼女は三つの優先事項を定めた:品質向上、コスト削減、速度向上Remember the rule: always verify your data before publishing.
ルールを忘れないでください:公開前に必ずデータを確認すること
セミコロン(;)
用途
- 独立節同士の緩やかな接続(接続詞を使わず関係を示す)
- 複雑なリストの区切り(各項目にカンマが含まれる場合)
- 接続副詞(however, therefore 等)と組み合わせて用いる
文を分ける記号の強弱関係は、ピリオド「.」>セミコロン「;」>カンマ「,」です!
使い方
- セミコロンでつなぐ両側は独立節である必要があります(文として完結しているか確認)。
- 複雑な列挙では「項目, 詳細; 項目, 詳細」のように項目間をセミコロンで区切りましょう。
- 接続副詞を使う場合は「節;however, 節」の形式で論理の流れを明確にしてください。
注意点
- セミコロンはカンマの代わりではありません。短い列挙や単純な句にはカンマを用いるほうが自然です。
- 読者がセミコロンに慣れていない場合、過度に複雑な文を作ると理解を妨げることがあります。
使用例
The team prepared thoroughly; nevertheless, the result was disappointing.
チームは入念に準備した;それにもかかわらず結果は期待外れだったSpeakers included Tokyo, Japan; Paris, France; and Sydney, Australia.
講演者は東京(日本)、パリ(フランス)、シドニー(オーストラリア)を含んだ
練習問題
修正前:She wanted to go he was too busy.
解答
She wanted to go; he was too busy.(セミコロンで独立節を接続)
修正前:He listed the countries he had visited Japan, France, the USA and Brazil.
解答
He listed the countries he had visited: Japan, France, the USA, and Brazil.(コロンでリスト導入)
修正前:The report which was submitted last week contains many errors needs revision.
解答
→ 解答:The report—which was submitted last week—contains many errors and needs revision.(エムダッシュで挿入句を明確化)
Our well-researched, multi-phase case study—completed last month after extensive interviews—identifies three key risks: supply-chain disruption, unexpected cost-pressures, and talent-shortage; therefore, we recommend an agile, phased response-plan and immediate pilot actions to mitigate them.
訳
入念に調査され、複数段階で進めたケーススタディは先月、詳細な聞き取りを終えたうえで、三つの主要リスクを特定しました。サプライチェーンの混乱、予期せぬコスト圧力、そして人材不足です。したがって、機敏で段階的な対応計画と、即時の試行的施策を実施することを推奨します。
おわりに
本稿で扱ったエムダッシュ、ハイフン、コロン、セミコロンの四記号は、それぞれに役割があります。
ポイントは単純です!
エムダッシュは挿入・強調に、ハイフンは語の結合・分割と複合修飾に、コロンは「前半が後半を説明する」場面に、セミコロンは独立節同士や複雑な列挙の区切りに使いましょう!
そして使用するときは「ダッシュの種類(ハイフン/エンダッシュ/エムダッシュ)」「スペースの有無」「コロン前の節は独立節か」といったルールを文書全体で一貫させることも大切です。
いかがだったでしょうか?皆さんの英語読解・作文スキルの向上に貢献できたのであれば幸いです。
ご閲覧ありがとうございました!
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